特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設、以下「特養」)は、入所者が生活する場です。記録は、食事・排泄・入浴といった日々の生活の様子を、24時間の流れと、看護・機能訓練・栄養・相談員など多職種の連携の中で残します。入所者一人ひとりの記録を、日勤・夜勤をまたいで一連で残すのが特徴です。
本記事では、特養で何を記録するのか/夜間・看取りの記録/書く時間を減らすコツを整理します。記録の基本そのものは「介護記録の書き方|場面別の例文と書く時間を減らすコツ」もあわせてご覧ください。
例文はすべて説明用の一般例です。実際の記録は、各施設のルール・様式に合わせ、事実に基づいて記載してください。
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特養の記録は「生活の場」を24時間で支える
特養の記録は、施設サービス計画(ケアプラン)にもとづく日々のケアと、生活全般の様子が中心です。
- 食事・水分:摂取量、形態、むせ、水分量
- 排泄:誘導・介助、回数、便通
- 入浴・整容・口腔ケア:実施状況、皮膚の状態
- 睡眠・夜間の様子:入眠・覚醒、夜間の対応
- 活動・離床・リハビリ:日中の過ごし方、機能訓練の様子
- 健康状態:体調変化、服薬、看護師との連携
- 特記事項・ヒヤリハット・事故:転倒・体調急変などと対応
- 多職種連携・カンファレンス:看護・栄養・機能訓練・相談員との共有
ポイントは、日勤から夜勤へ、一人の入所者の記録が途切れずつながることです。交代制で多くの職員が関わるからこそ、様式をそろえ、誰が読んでも状況が分かる記録が求められます。
場面別の書き方と例文(特養)
「△ 悪い例」→「◯ 良い例」で並べます。
食事・水分
- △「全量摂取」
- ◯「昼食、主食10割・副食8割を自力摂取。きざみ食。むせなし。食事中の水分約200ml。」
排泄
- ◯「14:00 トイレ誘導にて排尿。失禁なし。便通は前日より2日なし、看護師へ報告。」
夜間の様子
- △「良眠」
- ◯「23:00 入眠。1:30 覚醒しコールあり、トイレ誘導にて排尿後、再入眠。以降は朝まで良眠。」
健康状態・看護連携
- ◯「10:00 体温37.4℃、平熱よりやや高め。看護師へ報告し経過観察。水分摂取を促す。」
特記事項・事故
- ◯「16:20 居室で立ち上がろうとされ、ベッド脇で尻もちをつかれる。痛みの訴えなし、外傷なし。看護師確認のうえ経過観察。ご家族へ連絡済み。」
看取り・ターミナルの記録
- ◯「呼吸はやや浅め、表情穏やか。声かけに開眼あり。ご家族が面会され、手を握って声をかけられる。看護師と連携し、計画にもとづき安楽な体位を保持。」
看取りの記録は、状態の変化・ご本人とご家族への関わり・多職種の対応を、計画(看取りに関する方針)にもとづいて丁寧に残します。
特養ならではの「書く時間を減らす」コツ
入所者が多く、交代制で記録が積み上がる特養では、運用の工夫が効きます。
- その場で短く残す:ケアの直後に一言。後でまとめて書くと、夜勤帯などに負担が集中します(介護記録を効率化する5つのコツ)。
- 様式・項目をそろえる:多くの職員が関わるため、書き方のばらつきを抑えると共有・申し送りが楽になります(介護の申し送りを効率化するコツ)。
- 記録の一元化・検索性:紙だと夜勤帯の確認や過去の経過確認に手間がかかります。デジタル化で「入所者・日付・項目」でたどれるように(介護記録の電子化・ペーパーレスの始め方)。
- 音声入力・AIの下書きを活用:ケアの合間に話した内容から下書きを作り、確認・修正で仕上げる。
私たちの「介護DXアシスト」も、スマホ・タブレットに話しかけるだけで、生活の様子や気づきを整理した記録の下書きを作成できるツールです(専用機器不要・無料プランあり・現在β版・個人運営)。多くの職員が関わる現場で、その場で残しやすく、後から確認しやすくすることを目指しています。最終確認は人が行う前提です。データは国内サーバーで暗号化保管し、施設単位でアクセスを制御しています(セキュリティ・データ保護)。
記録は運営指導・加算・LIFEでも問われる
特養の記録は、運営指導(旧・実地指導)や加算の算定、LIFEへのデータ提出でも確認されます。科学的介護に関する加算では、日々の記録・評価を元にしたデータ提出が要件になることがあります。詳しくは「介護記録が問われる3つの場面(運営指導・加算・LIFE)」へ。
※加算の算定要件・必要書類・様式は制度改正で変わります。最新の正式な要件は、厚生労働省の告示・通知や指定権者(都道府県・市区町村)の窓口で必ずご確認ください。
まとめ
- 特養の記録は、生活の場を24時間・多職種で支える。日勤〜夜勤で一連につなげる。
- 各場面で 「何をして→どんな様子で→結果どうか」 を具体的に。看取りは関わりと対応を丁寧に。
- 入所者が多い特養こそ、その場で短く・様式統一・一元化/検索性・音声入力/AI下書き が効く。
業態別の記録は、老健(介護老人保健施設)の記録・デイサービスの記録・訪問介護の記録・グループホーム/小規模多機能の記録 もどうぞ。記録ソフトの選び方は「失敗しない介護記録ソフトの選び方」へ。
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